モザイクの学校(スピリンベルゴ)

モザイクアートの今と歴史 モザイクを巡る旅

フリウリ・モザイクスクール Scuola Mosaicisti del Friuli

【スピリンベルゴ】という小さな街に、ラヴェンナと並び世界的に有名なモザイクの学校があります。2022年に創立100周年を迎えた【フリウリ・モザイクスクール】。3年生の公立専門学校である【フリウリ・モザイクスクール】では、モザイクの古典技法から現代のモザイクアート技法まで、モザイク技法を体系的に学ぶことができます。数学等の授業もあり、イタリア語高レベルは必須。日本人も数名卒業されています。(学校名直訳 スクオーラ モザイチスティ デル フリウリ)

コムーネ・スピリンベルゴ概略

【スピリンベルゴ・Spilimbergo】は、イタリア北部、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州(オーストリアとスロベニアに国境を接する)ポルデノーネ県にあるコムーネです。コムーネとはイタリアの自治体で、日本の市町村のようなものでしょうか。ちなみにモザイクの街ラヴェンナは、エミリア・ロマーニャ州のコムーネで、ラヴェンナ県の県都です。スピリンベルゴは、ヴェネツィアから車で1時間強、列車だと2時間半ほど。一般的観光ルートではないので、あまり知られた街ではありませんが、近くにはローマモザイク遺跡、アクイレイアがあります。

28年ぶりフリウリ・モザイクスクール再訪

2025年のイタリア視察では、【フリウリ・モザイクスクール】にも訪問しました。ラヴェンナ留学当時アッカデミアの同級生に連れられて来た事がありました。記憶では駅前にタクシーも無く寂しい街の印象しか残っていません。車無しの3年間修学はとうてい厳しいなと感じていました。28年ぶりのスピリンベルゴの街並みは、垢抜けた印象。私の見る目(感覚)が変わったせいもあるでしょう。パスクア前のモザイクスクールの近くのジェラテリーアでは、ベビーカーを押したスピリンベルゴのママたちと子ども達で賑わっていました。

様々なモザイク技法を一覧にできるモザイクスクール

モザイクアートの技法

モザイク芸術には、幅広い表現方法があります。【フリウリ・モザイクスクール】では、古典モザイク技法であるギリシャ・ローマ時代から、ビザンティン時代まで、モザイク遺跡の模倣を通しモザイク表現の変遷を実習を通し学びます。校内には、学生達が制作したこれらの模倣作品が展示されており、一般開放(有料)されています。近代・現代のモザイクアート作品まで、あらゆるモザイクアート技法を試した作品を鑑賞できます。タブローとしてのモザイク作品だけでなく、床、階段、壁面三方、カフェやトイレまで生徒実習のモザイクで覆い尽くされており、建築的に考えられる限りのモザイク施工が試されています。

モザイクアート・肖像画

色彩豊かなヴェネツィアガラス(ズマルト)や、天然石の大理石の色調を生かした肖像画表現も【フリウリ・モザイクスクール】実習の特徴です。多様なモザイク技法の肖像画や絵画人物模写考作品例。

フリウリ・モザイクスクール・ギャラリー訪問あとがき

ほぼ28年ぶりに訪れたスピリンベルゴ、3年間のモザイク芸術専門教育の成果を目の当たりにしました。私のラヴェンナ留学当時は、ラヴェンナの伝統技法と比較すると、スピリンベルゴの表現は工業生産的で、どことなく対立する意識がありました。しかしインターネットやスマホが普及し、この20年の月日の流れの中で、お互いの意識も変化したようです。3年間一貫したモザイク実習ができる公立校は、イタリア国内では、実際【フリウリ・モザイクスクール】だけでしょう。案内してくれた友人達はラヴェンナ出身者でしたが、彼らでさえ、「これほど美しいモザイクは見た事がない」と賞賛していました。モザイクアートに対する思想は多様化し、日々進歩している事をブログ記事を通して、お伝えできたら幸いです。

Scuola Mosaicisti del Friuli

EXPO2025 OSAKA 大阪・関西万博

5月上旬、大阪・関西万博イタリア・パビリオン内のフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のイベント内で、フリウリ・モザイクスクールのデモンストレーションがありました。

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