2025年ジュビレオ【聖年】ローマ巡礼

モザイクを巡る旅

ジュビレオ/Giubileoとは、カトリック教会における聖年です。25年毎に一巡します。カトリック信者はジュビレオの年に、ローマの4大バジリカの聖なる扉をくぐると、特別の赦しがえられるとされるので、世界中の信者がジュビレオ年にローマ巡礼します。

2025年ジュビレオ聖なる扉の開放

2024年12月25日〜2026年1月5日
聖なる扉の開放は次の通り。2024年12月24日の19:00、フランチェスコ教皇(2025/4/21死去)によりサン・ピエトロ大聖堂の聖なる扉(ポルタ・サンタ/Porta Santa)が開かれました。(26日サンタ・カルチェレ・ディ・レビッビア)続いて29日、サン・ジョバンニ・イン・ラテラーノ大聖堂、2025年1月1日、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂、1月5日、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーレ大聖堂の聖なる扉が開かれました。(Jubilee2025カレンダーより)

特別聖年

ジュビレオは、1300年に始まりました。前回は2000年でしたが、特別聖年がなされる年もあります。2016年第266代ローマ教皇フランチェスコにより制定され、「慈悲の聖年(Anno Sanno della Misericordia)」は、2015年12月8日から2016年11月20日でした。

ローマ四大バジリカ(バジリカ・マッジョーレ・Basilica Maggiore)

ローマには、巡礼した信者が必ず参拝すべき四つの大聖堂(バジリカ・マッジョーレ)があります。ジュビレオの期間に、四大聖堂にある聖なる扉、【ポルタサンタ/Porta Santa】が開かれるのです。信者はジュビレオの期間開けられるポルタサンタを通り、罪の赦しを得ます。

四大バジリカ(聖堂)は、聖ペテロに捧げられた『サン・ピエトロ大聖堂』、聖ヨハネに捧げられた『サン・ジョバンニ・イン・ラテラーノ大聖堂』、聖パウロに捧げられた『サン・パウロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂』、そして、聖母マリアに捧げられた『サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂』です。

(ポルタサンタは、通常閉じられています)

サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂 聖なる扉 ナホミモザイコ
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂 聖なる扉 ナホミモザイコ

四大バジリカ【サン・ピエトロ大聖堂】(聖ペテロ大聖堂)

Basilica di San Pietro 2024 Nahomi Okada

【Basilica di San Pietro】ミケランジェロの「ピエタ」像であまりに有名なサン・ピエトロ大聖堂、4世紀(329年)までに完成したが、1505年から1613年にかけて再建され、現在の新大聖堂が完成しています。
イタリア留学の頃、1995年〜2000年代は教会にも広場にも気軽に入れました。ローマ観光時、疲れると大聖堂前に広がるサン・ピエトロ広場(ベルニーニ設計)の階段に座って、買ってきたパニーニ(サンドイッチ)を広げた頃が懐かしく思い出されます。
その後サン・ピエトロ大聖堂入場規制が強化され、広場に入るだけでも数時間の列をこなさないとならなくなってしまいました。留学の頃は当然スマホもなく、カメラも持たず、紙の地図を広げて迷い歩きしながら、道をイタリア人に尋ねつつ、こうして会話に慣れ、ゆったり観光情緒に浸ったものでした。

四大バジリカ【サン・ジョバンニ・イン・ラテラーノ大聖堂】(聖ヨハネ大聖堂)

【Basilica di San Giovanni in Laterano】ローマで一番古い聖堂。ローマ城壁内のかつてラテラーノ家の宮殿があった土地に隣接して立てられました。

四大バジリカ【サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂】(聖母マリア大聖堂)

【Basilica di Santa Maria Maggiore】「神の母はマリア」の説が認められたエフェソス公会議を記念し、建築されました。サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂には、ローマの聖堂に残る人物装飾のうち、最も古い作例のモザイクが残り、身廊壁に旧約聖書の物語が42場面(現存27)が描かれています。モザイク芸術巡礼では、ぜひ訪れたい教会の筆頭です。モザイクのテッセラの使い方に独自性がありますが、肉眼では到底確認できません。
2025年4月21日に88歳で死去されたフランチェスコ教皇は、ご遺言によりヴァティカンではなく、サンタ・マリア・マッジョレー大聖堂に埋葬されるのを望まれています。

サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂 ローマ ナホミモザイコ
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂 ローマ・テルミニ駅からも間近です。2024 Nahomi Mosaico

四大バジリカ【サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂】(聖パウロ大聖堂)

【Basilica di San Paolo fuori le Mura】324年献堂式が挙げられ、八世紀後半には再度改修されました。1240年ヴァッサレット親子により付け加えられた回廊にある【ねじれ柱のモザイク柱】が美しいので、参拝時はぜひ回廊も忘れずにご覧ください。

サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂 ナホミモザイコ
サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂 ナホミモザイコ

ローマ五大聖堂

これら四大聖堂に五つ目(バジリカ・ミノーレ)の聖ラウレンティウス大聖堂(サン・ロレンツォ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂)を加えた五大聖堂は、キリスト教公認後の早い時期に建てられたもっとも重要な聖堂とされます。

ローマ七大巡礼聖堂

ローマにはさらに参拝することが望ましい三つの聖堂(バジリカ・ミノーレ)があり、合わせて七大巡礼聖堂と呼ばれています。バジリカ/Basilicaとはもともと、ローマ帝国時代の市場や裁判所、集会所を兼ねた場所の建造物です。

ローマ ジュビレオあとがき

カトリック信者ではないものには縁遠く感じる聖なる年の巡礼。日本の風習に例えると、寺院の秘蔵仏などを12年毎に公開する開帳の宗教行事と似ていると言えるでしょうか。ジュビレオの期間は世界中からカトリック信者がローマに集まるため、前の年からローマ市では道路工事などの都市整備が行われます。

2024年4月再訪時、ローマの街歩き、カラカッラ浴場近くで遭遇した道路工事 2024 Nahomi Mosaico

思い起こせば2016年の「慈悲の聖年(Anno Sanno della Misericordia)にもローマにおりました。前はジュビレオの事を知らなかったのですが、記憶のどこかで、聖なる扉の前の行列を見て、これはなんですかと訪ねたような気がします。チケットを買って巡礼するんだよと言われましたが、短いローマ滞在の期間中にはとうてい無理そうだったので、あきらめたような思い出が片隅にあります。2016年ではないから2000年も私はローマにいたのでしょうか?それとも、聖なる扉の前での一般的な会話?曖昧な記憶が懐かしい旅路とともに思い出され、ローマへの理解も、イタリアへの理解も、モザイク芸術とともに深まるのでした。

ジュビレオ年4大バジリカ巡礼時ほか、ローマ観光時の注意事項

大規模の教会寺院や美術館入場時は、セキュリティーチェックが行われます。荷物は身軽にまとめると良いですね。気を抜かず、セキュリティーチェック時の貴重品紛失には注意したいものです(私はカメラ等、貴重品が機械に通る時は、身体チェックを受ける横目で最後まで、自分の荷物の流れから目を離しません)。
特に観光客の集まるジュビレオの年、万全に注意してローマ観光を楽しみたいものですね。
バックは上着の中に斜めがけ、できればファスナーは安全ピンでさらに留める。スマホは斜めがけとバック等2箇所に二重に留める、大きなお札は街角では出さない。私がイタリア大都市滞在時注意している普通のことを書き加えました。残念ながら、美しいローマは外国です。万が一の事件が起こらないよう、最後まで緊張感を忘れずに良い旅を!ヴオン ヴィアッジョ!

参考文献 【中世ヨーロッパの美術】浅野和生
ローマの教会巡り】小畑紘一
地中海都市紀行】名取四郎

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