[サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂/ラヴェンナのロマネスク]イタリアだより vol.7-2021

モザイクを巡る旅

ラヴェンナとは

エミリア・ロマーニャ州の小都市ラヴェンナは、ヨーロッパ最古のボローニャ大学のあるボローニャから東へ70キロ、ローカル線でのんびり1時間かけて旅します。
ラヴェンナは、古代地中海時代に軍港や、商業港として栄えました。5〜6世紀の教会建造物と、その内部空間を飾るモザイク芸術は、1996年世界遺産に登録され、ビザンティン芸術の街として知られています。

サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂 ラヴェンナ駅を降りると左方に

ラヴェンナの聖人



402年、西ローマ帝国宮廷がミラノからラヴェンナに移され、歴史上とくに重要な街として浮上します。伝承によれば、ラヴェンナにキリスト教を伝えたのは、使徒ペトロと共にイタリア半島に渡り、ラヴェンナで殉教したアポリナリス(Apollinaris/Apollinare)とされます。(※1)市街から数キロ離れた海に近い松林の中にあるサンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂は、聖人アポリナリス(聖アポリナーレ)に捧げられた聖堂で、牧歌的なモザイク壁画が特徴です。

ラヴェンナと私

ラヴェンナは、かれこれ20年以上前(!?)、岡田七歩美が始めてモザイクアートを学んだ街なので、度あるごとにラヴェンナを訪ねます。ラヴェンナのモザイクと聞けば、サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂はじめ、色彩豊かで荘厳なビザンティンのモザイク芸術を思い浮かべるところですが、ロマネスク時代の素朴なモザイクにも触れることができるのです。

ラヴェンナ駅からすぐサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂 

さて、列車からラヴェンナ駅を出て歩き出しましょう。左手前方には、心地よい広さの緑地がひらけています。木立の中にキラキラ輝くカラフルなビザンティン文様のモザイク柱は、近年ラヴェンナの作家によって作られたもの。その奥に見えるレンガの建物が、サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂(教会)です。

ミサや、昼休みなど、市民の暮らしに今も生きる聖堂(教会)です。聖堂内には、ビザンティンの時代の荘厳なモザイクとは一転して、”ゆるい”雰囲気のモザイクに出会うことができます。

18世紀に聖堂床下から発見された中世のモザイク断片。一説には神父様の作った物とか。大理石を中心とした素朴な画風が日本人には親しみを感じるモザイクです。第四次十字軍の主題や、グリフォン、ユニコーンなど空想の動物も描かれています。

サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂/Basilica di San Giovanni Evangelista

ラヴェンナに現存する教会で一番古いサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂は、ガッラ・プラキーディアが聖ヨハネに感謝して寄進しました。第二次世界大戦の空爆で大きな被害を受けました。その後、ほぼ創建当時の姿に修復されています。

採光も良い内部はラヴェンナの史跡群と比較すればスッキリとした印象を受けます。内部後陣(アブシデ/abside)の半円蓋(クーポラ)には5世紀〜16世紀にかけてはモザイク装飾がされていたと推測されますが、現在は漆喰で覆われています。

教会の壁には、古い旅行案内所によれば”1213年にグリエルモ神父によって作られた”※2 モザイク床の断片が展示されています。

ガッラプラキーディアの寄進

皇帝ホノリウス亡き後、異母妹ガッラ・プラキーディア皇妃が、コンスタンティノーポリの東ローマ帝国宮廷から息子と共にラヴェンナに帰還する旅の途中大嵐に見舞われた時、プラキーディアは、聖ヨハネに航海の無事を祈り、難を逃れたのを感謝し、サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂を寄進したとされています。

ラヴェンナのロマネスクモザイク

1763年の発掘調査により、床下から発見されました。単純素朴な作品ですが、空想上の動物や、第四次十字軍の場面、「ザラ(ザダル)の包囲」などの場面が描かれています。

ザラの包囲第四次十字軍の場面 床モザイク部分 サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂
ザラの包囲 第四次十字軍の場面 床モザイク部分 サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂 
SAN GIOVANNI EVANGELISTA, Ravenna

サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂 聖堂床下から発見されたモザイク断片

モザイク断片は、オリジナルの5世紀のもの、6〜7世紀のもの、そして、12〜13世紀のもの、3つの時代のモザイク床が見つかりました。

[DECEN…OM…BER…VBER] おそらく四季を表現したモザイク断片 サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂
ユニコーンのモザイク SAN GIOVANNI EVANGELISTA, Ravenna
二羽の雄鶏が死んだ狐を運ぶ図(中世の図像) SAN GIOVANNI EVANGELISTA, Ravenna
鳩が小枝を運び、アルルは香炉を運ぶの図(葬儀)サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂

モザイクアート教室での模写アレンジ作品

サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂のモザイクは、他にもまだまだ親しみのある図像が尽きないのですが、、。七歩美モザイコでは、モザイクの古典作品を取り入れた現代的なモザイク作品制作を始め、お客様のご要望に合わせたモザイクアート作品を制作いたします。

モザイク教室でも、これまで、生徒の方がこのモザイクを主題にして、ステキな作品に取り組んでこられました。
皆さんも、夢見る旅気分で、モザイクアート制作に取り組んでみませんか?

詳しくは、七歩美モザイコ・モザイクアート教室で!あなたをお待ちしております!

SAN GIOVANNI EVANGELISTA
Piazzale Anita Garibaldi, 48121 Ravenna RA

後記:視覚優先で、史実と記憶に弱い筆者が、モザイク歴25年の間に見歩いたモザイク遺跡を自分の頭に治めるためにまとめたブログ記事です。モザイク初心者や、モザイクアートに興味をもった方が、よりモザイクアートの奥深さや広がりを感じていただけよう、古代地中海世界〜ビザンティンの時代背景を絡ませながらモザイク周辺の遺跡風景をご紹介しています。モザイクの断片がつなぐモザイクの奥深い世界をお楽しみいただけらば幸いです。

本文は、信頼のおけるインターネット情報を元に、オフィシャルなものと付け合わせ書いております。ご指摘等ございましたら、お知らせください。個人的理解の範囲です。文章・画像の無断転用はお控えください。岡田七歩美

参考資料

※1地中海都市紀行 古代キリスト教美術を訪ねて 名取四郎 岩波書店

キリスト教美術の源流を訪ねて1 イタリア編 名取四郎 教文館

※2ラヴェンナ 芸術と歴史 ロンゴ出版1980-1995
Ravenna mosaici arte storia archeologia monumenti musei; Wladimiro Bendazzi-Riccardo Ricci

Ravenna-i mosaici pavimentali della chiesa di San Giovanni Evangelista


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写真撮影:岡田七歩美 2021/2006

ローマ史プチメモ

王政期(紀元前753~紀元前509)
共和政ローマ(紀元前509~紀元前27)
帝政ローマ
東西分裂後
西ローマ帝国(395年~476/480年)>ラヴェンナ
東ローマ帝国(395年~1453年)>コンスタンティノーポル

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