― モザイクと空間芸術、そして魂の旅 ― 3

モザイクを巡る旅

バルセロナ 空間芸術の癒し

⒈ 美が人を癒す建築

グエル公園と並んで、
今回どうしても訪れたかった場所があります。

建物の美しさだけではなく、
街の構造そのものに、
癒しと美を組み込んだ空間です。

サン・パウ病院。

ガウディと同時代を生きた
もう一人の建築家、
Lluís Domènech i Montaner
リュイス・ドメネク・イ・モンタネール
による空間です。

地下鉄の駅を降り、
歩いてサン・パウ病院へ向かいました。

地下鉄を降りて向かったものの、
敷地の一辺は約400メートル。
都市のように広がる敷地に少し道を迷い、
見学コースの入口とは逆方向へ歩いてしまいました。

予約時間ぎりぎりで、
ようやく入口に辿り着きました。

サン・パウ病院中庭
病院とは思えない静かな中庭。
光と庭園が患者を迎える場所。
オレンジの実のなる木も生えています。
ちょうど地元の子どもたちが散歩に来ていて、
中庭で輪になって休んでいました。

⒉ 癒しを設計した建築

病院の中では、
複数の建物をゆっくりと巡りました。

それぞれの建物の装飾、
モザイク、
色彩、
光。

一つ一つに立ち止まりながら、
何度も深く感動しました。

けれど、
二十年前に見た
ピンク色のタイル装飾のある場所には、
どうしても辿り着けません。

見学コースから外れてしまったかもしれない、
そう思いながら、
半ば諦めていました。


二十年前、
初めてこの場所に立ち寄ったときのことです。

病院の入口の手前で、
高度な障害のある方が
車椅子で介助されながら
ゆっくりと外を散歩している場面に出会いました。


当時の日本では、
まだこのように障害の重い方が
街の中で自然に過ごす光景を見ることは
ほとんどありませんでした。

開放的な治療の空間に
深く感動したことを覚えています。

実はそれより数年前、
私はベルリンに暮らしていました。

ある大きな治療のため、
入院した経験があります。

そのとき、
精神的な癒しという側面では、
日本の医療とはまったく異なる経験をしました。

その原体験が、
のちに私の芸術療法
(アートセラピー)へとつながっています。

美は人間の生活を豊かにする

これは
ナホミモザイコの母体、
ナホミオカダ造形表現研究所の理念です。

サン・パウ病院が、
この精神をはるか以前から
都市の構造として実現していた場所。

それが
バルセロナでした。

当時の病室
病室にも光と装飾を。
建築そのものが治療になるという思想。
花模様のタイルや明るい釉薬タイル、
高い天井のアーチなど、美しい装飾が施されています。

⒊ ピンクのタイルが治療になる場所

ピンクのタイル装飾がある
あの場所は
もう見られないかもしれない。

すっかり諦め、
次の予約のために
そろそろ出なければと思ったその時、

ふと横に、
もう一つの扉があるのに気がつきました。

ここは、入ったかしら?

私は
大きな扉を押して
中に入りました。

まさにそこが、
あの、
ピンクの装飾のある
大きなホールだったのです。

サン・パウ病院は、

「美しい環境が人を治す」

という思想で設計されました。

内部のタイルには




そして
ピンク

柔らかな色が使われています。

これらは

落ち着き
安らぎ
回復

を感じされる色として
意図的に選ばれたものです。

ピンクは

優しい身体の色。

モダニズム建築では、


植物
柔かな色彩

それらすべてが

生命の再生
を意味しています。

少し立ち止まって
その空間に立っていると
ある思いが浮かびました。

癒しとは、砕かれた光をもう一度集めることなのかもしれません。


二十年前、
敷地の奥を歩いているうちに
小さな教会に迷い込んだことがあります。

病院の中に、祈りの場所がある。

その静かな空間は、
身体だけでなく
人の魂もまた回復を必要としていることを
静かに語っていました。

サン・パウ病院|管理事務分館
柔らかなピンクのタイル。
光を受けてやさしく輝き、
色彩が心を癒すように設計された空間。

 ⒋ 花とタイルの音楽堂

急ぎ足でホテルに戻り、

次の予約へ向かいます。

Palau de la Música Catalan
カタルーニャ音楽堂です。 


いまはA Iが乗り換えを教えてくれるので、
とても便利になりました。

音楽堂では、
イタリア語のガイドツアーに参加できました。

モザイク
ステンドグラス
レリーフ

そして
手抜きのない内部空間の調和。

息を呑むほどの美しさです。

ほんの短い時間ですが、
パイプオルガンの演奏も聴くことができました。

カタルーニャ音楽堂 ホール天井細部
音楽と光が集まる天井。
天井から咲く薔薇の装飾。
ひとつで約3キロもあるという。

⒌ バルセロナそして光に導かれて

サン・パウ病院、
カタルーニャ音楽堂、

どちらも
モンタネールによる
モザイクと色彩、突起、光に満ちた装飾建築です。

病院は癒しの空間、
音楽堂は音の空間。

しかし私には、
どちらも同じものに感じられました。

光です。

砕かれた光。
モザイクの光。

その光の密集が、
やがて
Sagrada Família
サグラダ・ファミリアへと
続いていきます

カタルーニャ音楽堂
石のレリーフとモザイク。
彫刻と色彩が一つの空間を作り出す。

参考資料

・Beauty that Cures – Sant Pau Blog
https://santpau.blog/en/beauty-that-cures/

・Hospital de Sant Pau – Story at Every Corner
https://storyateverycorner.com/hospital-de-sant-pau-barcelona/

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