The Ancient Orient museum, Tokyo
池袋サンシャインシティ文化会館7階に、古代オリエント博物館 があります。
その頃私は、古代仏教や、シルクロード、ガンダーラ、ヘレニズムなど、西洋と東洋を結ぶ美術の流れに興味が高まっていました。古代オリエント博物館は、”[文明のあけぼの]古代オリエントの世界” 三笠宮崇仁親王(みかさのみや たかひとしんのう)のご本や、[古代オリエンとの神々]小林登志子さんの本に触れ、ぜひとも足を運んでみたかったのです。古代オリエントは、ギリシア・ローマ文明よりもっと古く、人類最古の文明が発達した地域です。
古代オリエント博物館では人類の歴史から
博物館に入るとすぐ、人類の歴史パネル展示があります。旧人類から、古代ローマまで、オリエント世界の流れを、一気に学習できる仕組みです。それだけで、博物館を訪れた目的は満たされた気持ちでしたが、偶然、モザイクの起源とされる、”粘土釘”をみつけました。
[モザイクテッセラの起源]粘土釘
ドイツ・ベルリンのペルガモン美術館にあるテッセラ”粘土釘”と似たものが、古代オリエント博物館に展示されていたのです。
さらに驚いたことに、[装飾用釘]の粘土釘が、土(粘土)製品だけでなく、石の釘もあるではないですか!これまで目を通したモザイク史の資料でも、ベルリン美術館でも、石の釘の存在を知らなかったので、興味が広がりました。石製釘は、メソポタミア出土、土製釘は、イラク南部出土、それぞれ、紀元前3200年頃と推定されています。
モザイク装飾を作り出す建築用品[装飾用釘]
グアテ王銘粘土釘
シュメル語碑文が刻まれている装飾釘の展示もありました。「記念碑文として、神殿の壁面に打ち込まれたものと考えれる」と説明されています。
シュメル語碑文 ”ラガシュの王グデアが都市神ニンギルスのためにエニンヌ神殿を建立した”。
孔雀のモザイク 3-6世紀レバノン
[タイムスリップ!古代オリエントの世界へ]展示は、最古のオリエント、古代メソポタミア、シリアの発掘、古代エジプトの文化、古代イランとその周辺、東西文化の交流について。中に、古い時代のモザイクも1点ありました!
[モザイクの起源]神殿装飾の円柱
先に、モザイクの起源としに、古代メソポタミアの都市、ウルク(Uruk)の神殿柱を挙げました。モザイク史を学び始めると、それまで世界史でさらりと習った用語や、物語の世界だったものが、現存する対象を通して、リアルに浮かび上がってくるワクワクがあります。古代へリアルにタイプトリップする感覚です。
古代オリエントは、私たち東洋側の人間が持ち合わせる古代仏教や神の世界と、学校教育で学んだ世界史の知識が合わさる地点。知識の幅が広すぎて、手に負えない領域とはいえ、博物館の展示品を通し、古代の世界が、今この目で確かめられる豊かさに感動しますね。
奥深いモザイクの世界、あなたも興味が沸いてきましたか?
タイムスリップ!古代オリエントの世界へ 古代オリエント博物館
鑑賞Data:2020年1月15日
追記:クレイペグ(粘土釘)clay peg
「世界のタイル博物館」では、10周年記念事業として、メソポタミアのモザイク壁(円柱)、装飾空間の再現を行っています。クレイペグとは、資料[ゆらぎモザイク考(粒子の日本美)]INAXライブミュージアム、の中で採用されている粘土釘の用語です。
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